三里浜砂丘地は、福井県北西部に位置し、かつて三国港から海岸線に沿って南西に長さ12㎞巾1~3㎞にわたる起伏のなだらかな砂丘地があり、浜の長さから「三里浜」と呼ばれていました。

対馬暖流の通る日本海側に有るため、北陸地方の中でも比較的温暖な気候で過ごしやすい気象環境になっています。冬の北西からの季節風は強いが、積雪は県内でも少ない地域です。

 

周囲には、昭和53年に海の玄関口として開港した福井港があり、主に韓国・ロシア・中国・台湾などとの貿易港として発展し、年間約169万トンの荷物を扱っています、また、福井港をとり囲む形で県内最大の工業地帯であるテクノポート福井があります。さらにスポーツ施設として、テクノポート福井サッカー場が整備されており、年間約1万1千人が合宿や試合を行い、観客も約1万5千人が訪れています。

交通面では、砂丘地の中央部を国道305号が縦断し、その沿線に道の駅みくにと農産物直売所ふれあいパーク三里浜が併設され、地元産の加工品(ラッキョウ等)や生鮮野菜を求める人で賑わっています。10月下旬から11月中旬になると、海岸線一面に見事ならっきょうの花が咲きます。このすばらしい景観は、三国の晩秋の風物詩のひとつでもあります。足かけ3年かけてラッキョウを栽培する三里浜砂丘地は全国一(三年子らっきょうとして)のラッキョウ産地です。

 

営農状況

三里浜砂丘地には、従来しっかりとした水源がなく、浅井戸による水に依存し、主にラッキョウなどを栽培していました。一風吹くごとに砂が移動し耕作には不向きな土地でした。この地に昭和44年福井臨海工業地帯造成マスタープランが作成され、その用地として林地・耕地を含めた約800haが買収されました。その後、減少した畑の対策として、県営による土地改良事業が導入され、盛土による畑造成、農道・排水路整備などが実施され、新たな畑地が生み出されました。

現在は露地とハウスによる作付けが行われており、露地ではラッキョウ、スイカ、ダイコンが主流であり、ハウスではメロン、コカブ、コマツナといった軟弱野菜が栽培されており、本県を代表する園芸産地となっている。しかし、当地区では、水源である井戸水の塩水化や水量不足により、初期生育の遅れや生育障害などが問題となっており、水の確保が課題となっています。また、近年農産物価格の低迷や農業従事者の減少、遊休地の増加が進行しており、その対策が急務となっています。

土壌条件

三里浜砂丘地の土壌は、砂丘未熟土に分類され、腐食含量および塩基置換容量(土壌が肥料を吸着できる能力、いわゆる保肥力)が非常に低い砂土です。なお、水田に海砂を客土した圃場は約140haあり、これらの下層土は水田土壌であるが、上層土1mは砂丘未熟土です。

砂土は土壌の乾湿度差が大きく、保肥力が低いため、良質な堆肥等有機物を積極的に施用し、地力の維持・増強に努める必要があります。pH5~6未満の土壌が多く、石灰質資材を用いた酸度矯正(酸性土壌にアルカリ性の石灰質資材を施用して、作物が生育しやすい土壌に改良すること)が必要であり、砂土は他の土壌に比べ締まりやすいので、深耕も必要です。

 

農地等の整備状況

福井臨海工業地帯の造成に伴う買収により、1戸当たりの耕作面積は平均1haであったものが半減したため、県営水田転換特別対策事業を導入し、農地造成(盛土)農道、用水路、防風林(黒松の植林)を整備しました。更に翌年には水源確保のため、県営畑地帯総合土地改良事業により、水源(深井戸)と散水施設(スプリンクラー)を整備し、減少した畑を従来あった面積の約7割までに戻す耕地の整備を図りました。

更に、平成9年度からは、県営畑地帯総合整備事業(担い手育成型)により国営事業の完了に合わせた既存の用水施設の再整備事業が行われています。

また近年、用水の塩水化による農産物への被害が増加していることから、国営九頭竜川下流農業水利事業により、水源を九頭竜川の鳴鹿大堰に転換し、水質の向上と用水の安定供給を図ることととしています。